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マルサのおじさん

人の話は面白いもので、うまくいった話ほどつまらなく、失敗した話、特に自分が失敗した話ほど面白かったりしますね。美女と偶然出会い、食事をしたら超盛り上がり、その後ホテルでチョーもてたという話聞きたい?といわれても、なんか馬鹿馬鹿しくて聞く気にもなれませんよね。その点、面白いかどうかわかりませんが、今回は私の人生最大の失敗のお話です。

20年ほど前のある日、突然会計士の先生から電話がありました。『税務署が調査に来たいっていうんだけど』それが、悪夢の始まりでした。『今回は勝手が違うからね、とりあえず帳簿類は自宅の物置にでも、しまっといて』税務調査は、何年かに1回は受けていたものの、勝手が違うってなんだ!と思いながら、いくら考えても思い当たるフシがありません。税務署が来る前に先生の指導もありました。『意味もなく机の引き出しを開けたり、パソコンを開いたりしないように。』『なぜですか』『開けたら、覗き込まれて、それなんですかって言われるだろう』聞かれて困るものなんて何一つないのになあと思いながらも、スタッフにも余計な動きをしないようにとくぎを刺しました。さて、いよいよ査察の日『マルサの女』のように本棚や絵の裏まで捜索されるのかと思いきや、さらっと見て、お忙しいところ失礼と言いながら税務署員は帰っていきました。なんだ、肩透かしじゃんとほっとしました。というより、元から何もないのにお騒がせの税務署だなと、内心ちょっと腹立たしいくらいの気分でした。

しかし、それはこれから始まる大事件の序章に過ぎませんでした。まず、帳簿類全てを税務署に提出させられました。税務署員が来たとき、なんとなく人のよさそうなおじさんだったので、有無を言わせない言い方で、帳簿を届けてくださいと言われたときは、正直何を偉そうにとしか思いませんでした。無意識に会計士の先生とおじさんを比べて間違いなくこっちのペースでことが進むだろうと思っていました。先生は、有名な自動車メーカーの監査役でしかも20人も会計士や税務士を抱える会計士事務所の社長、銀座のアカペラ王(アカペラでオペラを歌うので有名)です。貫禄が全然違います。そんな先生がなぜ私の顧問だったというと、まあそれは紹介というか、銀座のお姉さんが引き合わせてくれて、先生が私の舞台が好きになってくれたというか、いづれにしても私には不釣り合いの大物会計士だったのです。それに引き換え風采の上がらない税務署のおじさんには、負けるわけがないと思っていました。

税務署員


おじさんが攻撃を開始したのは、その直後です。領収書を1枚1枚確認し始めたんですね。『イトーヨーカドーで文房具を買っていますけど、地下売り場で食品も買っていますね。これ、お家で食べるものですか?』『いえ、スタッフの弁当だと思います』『なるほど、じゃ正確には消耗品じゃなく福利厚生費なんですね』こんな調子で、毎日問い合わせがきました。スーパーのレシートは、変色したりするので、各売り場でもらった何枚かをサービスセンターで手書きで1枚にしてもらっていました。それが怪しく見えたんですね。まさか、それが、1か月も続くとは思ってもいませんでした。『伊勢丹で買ったスーツは私服ですよね』『いえ、衣裳です』『衣装でブランド物のスーツが必要なんですか』『はい、私は衣装にこだわっていますので』これって全部伊勢丹に問合せして、担当者に電話で聞いているんですね。例えばイトーヨーカドーも、領収書をファックスしてその内訳をまたファックスし直してもらってチェックしているんです。たった1人の税務署のおじさんが、1か月にわたって何百枚という領収書を調べ上げました。そんなに頑張っちゃったら、何もないってわけにはいかないでしょ。何よりも私の業務がストップしてしまって、何ともできなくなってしまいました。おじさんから毎日かかっている電話に、アルバイトの子じゃ対応できないので、毎回私が出ていたんですね。先生に相談し、そろそろ決着をつけることになりました。その決め方は、ビックリなんですが、パーセントで決めるんですね。確かに私用で買ったものもあります、でも消耗品費の10%くらいです。いや、高価なものを私用で買っていることが多いですから、20%はもらわないと、じゃ、15%にしましょうか。こんな調子で決めていきました。経験豊富な先生も、おじさんが意固地になっちゃって困ったなと、根負け気味になってきました。福利厚生費に家族に使ったものはありませんか、打ち合わせに居酒屋を使いすぎではないですか、大量の本やCDを購入していますが自分のものはありませんか、おじさんが攻勢に出てきて各科目から何%か勝ち取っていきました。税金逃れをしたとは、今でも思っていません。でも、参った、もう終わりにしようよという気持ちでした。仕事が山のようにありますからね。こうして、なんだかんだで300万円ほどを払うことにして決着することにしました。しょうがないね、これも人生の修行だねとあきらめてやけ酒を飲みました。ここで終われば、ちょっとした失敗なんですが…。税務署から来た請求書を見て、ひっくり返りました。1000万円を超えているんですね。過去3年にわたって、追徴課税、加算税、延滞税、まあいろいろくっついてくるんですね。しかも、すぐに払わないと、利子が年14%ですよ。あまりのショックにくらくらしていると、追い打ちをかけるように住民税の請求がきました。よく見解の相違というけれど、普通に仕事をしている会社でも1か月も税務署に付きまとわれたら根を上げますよ。教訓も程度を超えると、失敗としか言いようがないですね。おかげさまで、今ではそんな失敗の心配がなくなりました。心配するほど稼いでいないからね。嬉しいのか悲しいのか。

この最大のピンチは、銀行が救ってくれました。『貸し渋り防止法ってのができてお金を借りてくれるところを探しているんですよ、1000万円借りてもらえませんか』渡りに船で、何とか窮地を免れました。あれ、これってうまくいった話ですね。いやいや、借りなくってもいいお金を借りて、返すのにどれほど苦労したことか。
でも、なぜ突然税務署がやってきたのかは、未だに謎ですね。


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