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新人研修

今週は、入学式、入社式真っ盛りですね。初々しい新人が、張り切っている姿を見るのは、心が洗われるようでこちらもうれしいものです。かくいう私も、新人時代がありました。私の人生で、唯一カタギのサラリーマンの2年半です。思い出しつつ、ちょっと書いてみたいと思います。


私が大学を卒業して初めて勤めたのは、神保町にある広告代理店です。東京と大阪に自社ビルを持ち、全ての媒体を扱っていましたが、まあ中の小くらいの会社でしたね。入社試験は、当時神保町の交差点の角にあった第一勧銀(岩波ホールの隣)の会議室でした。自社ビルが、ちょっと古いのでカッコつけたんでしょうね。それくらい気合を入れた新人採用でした。私の前の新人と言えば、2年前に入社したK大出身のMさんだけです。その年は、2人採用でしたが、私と同じ大学の1人が辞退し、結局私1人が入社することになりました。その会社で、新卒の生え抜きは私とMさんの2人。一応、小さな会社のエリートです。社長が張り切って『新人研修をやろう』と言いだしました。当然先生は、Mさんです。こうして、私とMさん(いいづらいので今後Mちゃん)のたった2人の新人研修が、行われることになりました。


千葉県岬の会社の別荘で合宿が、始まりました。今考えると、Mちゃんの講義は、実に綿密で、しかも理にかなった周到なものでした。とても、27歳の青年が考えたものとは思えないものでした。(いい忘れましたが、新卒とはいってもMちゃんも私も2,3年回り道してました)まず、教えてくれたのが、会社の概要。会社の席順、卒業大学と学部、年齢、家族構成、趣味嗜好、出身地、長所に短所、そして社内相関図まで、事細かにしかも図を書きながら教えてくれました。そのあとは、砂浜に出てランニングです。2人で一緒に裸足で走りました。息をつく暇もなくうさぎ跳びです。広告代理店は、体力が勝負だ!と、へとへとになるまで、汗を掻きました。そして、ポケットから卵を出し、栄養補給だ!といって生卵をパカッと口の上で割り、飲み込みました。私も当然生徒ですから、しょうがなくネトッとした卵を飲み込みます。そして休憩してから座学だ、走って帰ろう、と言い、走り始めると、しょうがなく私も付いて走ります。なにしろ2人ですから、休む間もありません。几帳面な受験生の予定表みたいに、1日のスケジュールがぎっしり詰め込まれていました。ありがたいことに、そこで私は広告代理店という仕事を理解することができました。媒体、営業、制作とは何か、という基礎知識から、オリエン、プレゼンとは何か、具体的にはどうするのかまで、2人きりでずっと教えてくれました。当時は、Mちゃんが社会人の基本形のように考えて、そのまねから色々覚えていきましたが、今考えるとMちゃんってすごい人だったんだとつくづく思います。企画書の書き方は、その後30年役立ちました。ちょっとした提案書から、銀行への借金の申込書まで、ほとんど全てのビジネス文書はその時に習った書き方の応用です。夕方講義が終わると、さあおしまい、次は遊ぼう!とメリハリの効きすぎた切り替えで、夜の時間に入ります。Mちゃんは、極端にすべての面で奥手でした。ですから、遊ぶといっても、主に私の歌舞伎町界隈の武勇伝の聞き役です。Mちゃんは、いちいち相槌を打ち、メモでも取る勢いで熱心に聞いてくれました。こんな感じで、3日間の研修が終わりました。


海岸を走る男 

写真はイメージです


その会社では、本当にかわいがってもらいました。毎晩、9時くらいになると、誰かが、さあ行くぞと声をかけて飲みに連れていってくれました。1年目は、Mちゃんの下に配属され、使いッパシリです。1面六割(新聞1面の記事下雑誌広告面)に全ての地方紙に広告を出すクライアントがいて、掲載紙を取りに行くのが私の仕事でした。地方紙の支社はほとんど銀座ですから、端から端まで何十部の新聞を抱え駆け足で駆けずり回りました。届ける原稿は、写植を切り張りした版下か、新聞社の場合は凸版もまだありました。そんな時代です。昼ごはんを食べる時間を惜しんで、自分に与えられた仕事をこなしました。この経験が、その後の人生のすべての基本になりました。社長は、2年目の私に中野に1軒家の社宅を用意してくれました。そのくらい期待されていたんです。でも、たった2年半で、その会社を辞めてしまったんですね。


その後、Mちゃんが会社をクビになったという話を聞きました。腕試しで、1人で雀荘に入り浸っているうちに、そっちの道に行ってしまったとか。きちんとした会社員になるためにあんなに真剣に新人研修をした2人が、何年か後には道を外してしまったんですね。おそらく2人とももう取り返しのつかない年齢になってしまいました。それもまた人生ですね。

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