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ジェルソミーナ


ソチ五輪が終わりました。毎日、朝方までTVにくぎ付けになっていた人も多かったと思います。いつか終わるのがわかっていても、祭りの後は、やはり寂しいものです。特に、この大会を最後に去っていく日本のエースを見ていると、4年前に踊った『ジェルソミーナ』のシーンが鮮やかによみがえってくるのです。

『精いっぱいやったけど、これが実力かな』と、フリーの演技の後で高橋大輔選手はインタビューに答えています。でも、素人目にもフリーのラスト2分間の何か吹っ切れたような、気持ちが乗り移ったようなスケーティングに圧倒されました。技術的なことはわかりませんが、感情は理屈なしに伝わってきます。リンクにこぼれるような気迫とある種の幸福感が、会場を支配し、TVの前の私たちまでをとらえて離しません。そこには、点数がどうの、順位がどうのといったことはあまり意味がありません。踊る姿そのものに感動してしまうのです。

トランペット ジェルソミーナ=イタリア語でジャスミン


私は、4年に一度、五輪の年だけアイススケートを見る典型的なにわかファンです。ですから、10年ほど前に高橋選手がデビューした時も、新人ホストのような少年だなあくらいにしか思っていませんでした。それが、けがを乗り越え前回のバンクーバー五輪のリンクに立った時、彼の見方を一変しました。道化師の恰好をしてリンクに立っていたのです。そして音楽が始まると、それはフェデリコ・フェリーニの映画『道』のテーマソングでした。ジェルソミーナの吹くラッパの音色に合わせて踊りだした時、カチッと鍵をかけるように私の心を奪いまいした。なぜか、理屈では証明できません。頭の弱い道化師のジェルソミーナ、そんな彼女をいいように使う粗野で酒と女三昧の男ザンパノ、そんな中ジェルソミーナはだんだんザンパノに情が移っていきます。でも、ザンパノは、ジェルソミーナにラッパを教えてくれた男をなぐり殺し、落ち込んで使い物にならなくなった彼女も道端に捨ててしまいます。何年かして、遠くからジェルソミーナの吹いていた曲が聞こえ、ザンパノは自分が失ったものの大きさに気づくのです。その物悲しいメロディと高橋選手の演技がオーバーラップして、何度も波のように心に寄せてきます。

『うまくいかないのも‥‥人生かな‥』高橋選手は、インタビューの最後にこう話しました。才能も努力も運命もすべて巻き込みながら、爆発するように終わるんでしょ、オリンピックは、たぶん選手にとって。去っていく日本のエースにこころから感謝です。俗な言い方だけど、ありがとう、記憶に残る演技をと。

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